ともつくでは、地域のみなさんが多世代で交流できる「地域の居場所づくり」を行うことを活動内容のひとつとして掲げています。年齢・性別・障害の有無にかかわらず、皆がごちゃまぜになって、いきいきと過ごせる地域共生社会を目指しています。
そのヒントを探すべく、一般社団法人えんがおの代表理事である濱野将行さんを訪ね、えんがおの皆さんの取組みについて話を聞いてきました。
濱野さんは、元々、作業療法士として介護現場で働いていたそうですが、高齢者と向き合っていく中で、高齢者の孤立は、高齢者とだけ向き合っていても解決できないと感じたそうです。そこで、地域の様々な人の力を活かして、高齢者の孤立化の予防と解消ができる地域の仕組みを作り、実践していくため、2017年に栃木県大田原市で一般社団法人えんがおを立ち上げたそうです。
■ 一般社団法人えんがお https://www.engawa-smile.org/
近隣に住まう高齢者たちの「日中に集まれる場所がほしい」という声に応えて「みんなの家」を開設し、1階で地域サロン、2階で学生の勉強スペースを始めたとのこと。それを皮切りに地域食堂、無料宿泊所、シェアハウス、精神・知的障害者のためのグループホームなどを開いてきましたが、どれも住民のニーズに応える形で始めたと話してくださいました。
お茶をする場所だけあっても居場所にならない、役割が居場所になっているのかもしれないと気づき、運営しているすべての居場所では、お茶出し、掃除、洗い物、段ボールの整理など、皆に必ず何らかの役割を担ってもらっているそうです。支援される側をいかにプレイヤーにするかを、スタッフ全員で意識しているとも話されており、これが上手くいっている秘訣なのかもしれません。
地域サロンと学生の勉強スペースがある建物「コミュニティハウス みんなの家」は元々酒屋として使われていたそうです。店主だった女性、高齢になりお店を閉じてしまったけれど、毎日のようにえんがおのサロンに「出勤」してきてソファで来所者の対応やお茶出しをしているそうです。私たちが訪問した日にもお茶を出してくださいました。
地域の中で、さまざまな人を巻き込みながら活動を進めるとともに、定期的に「誰がこの活動で笑顔になったか」という点に立ち返り、えんがおの活動で笑顔になった人を発信していくことで、”信用をためていく” ことを重視しているそうです。若者に向けた活動の発信はSNSでおこない、地域の高齢者に向けては「えんがお通信」(2、3か月に1回発行)を配布しているそう。活動をオープンにして信用を得ると「物品の寄付や人的リソース、技術、知識、情報として降ってくる」と考えているそう。実際、各拠点で使用されている家電製品の多くは、地域の人たちからの寄贈品なのだそうです。
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視察したともつくメンバーの声
濱野 将行(はまの まさゆき)
一般社団法人えんがお 代表理事
栃木県矢板市出身、作業療法士。大学卒業後、介護老人保健施設で勤務しながら「学生と地域高齢者のつながる場作り」を仕事と両立する中で、地域の高齢者の孤立という現実に直面。根本的な解決に届く地域の仕組みを作るため、2017年5月「一般社団法人えんがお」を設立し、作業療法士の視点を活かしながら、高齢者と若者をつなげるまちづくりに取り組む。
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